KONAを目指す挑戦者たちのライフストーリー

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横山正尭さん

人生もトライアスロンも、失敗から学び、
粘り強く続けて結果を出してきた。

マラソンは2時間50分、バイクは日本のホビーレーサーの甲子園と言われるツール・ド・おきなわ210㎞完走と、トライアスリートとしてはハイレベルな実力をもつ横山さん。

KONAチャレ2年目に挑んだアイアンマンでは、経験不足やアクシデントで実力を生かせず、失敗から学んで挑む予定だった3年目はコロナ禍でレースなし。

しかし、その間も着実にパフォーマンスを向上させ、いつでもKONAを狙えるアスリートに近づいている。

そこには人生で失敗・挫折から学び、あきらめず粘り強くがんばることで結果を出してきた横山さんの、体験に裏付けられた信念があった。

プロフィール

よこやま・まさたか

1982年生まれ。小中高とサッカーに打ち込んだが、東京の大学に進んでから一度スポーツから離れた。2005年卒業後、公認会計士の資格取得のためアルバイトをしながら試験を受け続け、2009年12月に合格。2010年から監査法人に勤める。この年から健康のために走り始め、2011年ハーフマラソン、2013年フルマラソン完走。2014年12月にロードバイクを買い、翌年ヒルクライムレースやショートのトライアスロンに出場。2017年セントレア、ツール・ド・おきなわ140㎞完走。2018年KONAチャレ・フレンドメンバーに選ばれ、2020年1月にレギュラーメンバーへ昇格。

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©Kenta Onoguchi

Interviewer

山口一真

1982年東京生まれ。小学校から大学までバスケットボールに打ち込む。社会人になってスポーツから遠ざかり、一時期体重が100kgを超えたが、選手時代のノウハウを生かした食事と運動により1年間で40kgの減量に成功。2018年メイクスのKONAチャレ担当になったのを期にトレーニングを始め、秋にはアイアンマン台湾を完走した。以後もアイアンマンや宮古島などに出場を続けている。

サッカー少年時代の挫折?

山口横山さんは僕と共通点が多いんです。1982年生まれで、38歳。お子さんがたしかKONAチャレが始まった2018年に生まれていますよね。KONAチャレ応募のコメントに、「子どもの誕生日をKONAで迎えられたら」と書かれていたのが印象的でした。うちもその年に子どもが生まれています。

横山子どもも同い年なんですね。

山口それから、横山さんは東北出身ですよね?

横山青森県の青森市内です。

山口僕の母は八戸出身で、妻が弘前なんです。父方の祖母は岩手。そこも何か親近感がありますね。東北人の、言葉数は少なくても、地道に粘り強くがんばる気質みたいなものにシンパシーを感じます。横山さんは、いつまで青森で過ごしたんですか?

横山高校までです。

山口どんな幼少期でした?

横山小中高通じてサッカー少年でした。父は公務員で、趣味でランニングをしていましたが、僕はサッカー以外のスポーツにはあまり興味がなかったですね。でも、あまりうまくなれず、試合にも思うように出られない選手でした。

山口ポジションはどこでした?

横山小学校時代はフォワード、中学ではミッドフィルダー、高校ではディフェンスでした。

山口それってありがちなパターンですね。最初は点がとれて人気があるフォワードを目指すけど、だんだんポジションが下がってくる。

KONAチャレの応募シートにも「サッカーは対戦相手やチームメイトなど自分でコントロールできない要因に大きく影響を受けますが、ランニングなどの個人競技では、自分で目標を設定し努力し、分かりやすく結果が現れることに魅力を感じます」と書いていますね。

そのあたりのチームスポーツの難しさを感じたんでしょうか?

横山サッカーでは相手がすごくうまいとどうしようもないですし、チーム内でも自分と関係ないところで点をとったりとられたりするので、自分の貢献度がわかりにくいですよね。そこが難しさであり楽しさでもあるんですが。

その点、個人スポーツは自分でコントロールできる要素が多いし、はっきりしているので、こっちのほうがいいかなと今は思っています。

市民ロードレースの中でも完走自体が難しいとされるツール・ド・おきなわ210㎞もトライアスロンのためのトレーニングの延長で完走している

持ち前の粘り強さで
公認会計士に合格

山口高校でサッカーはやめてしまったんですか?

横山そうです。大学は東京でしたが、特にスポーツはやりませんでした。

山口社会人になってダイエット目的でランニングを始めたのがトライアスロンにつながったとのことですが、横山さんは公認会計士ですよね?

走り始めたのは大学を出てどのくらいたってからですか?

横山5年くらいです。

山口一度就職してから公認会計士をめざしたんですか?

横山いや、2005年に大学を出て、アルバイトしながら会計士の勉強をして試験を受け始め、4年目の2009年11月に合格。その翌月(12月)に監査法人に就職しました。

山口それって早いほうですか?

横山いえ、遅いほうです。2〜3年で合格する人が多いですから。

山口そこであきらめずに粘ったところが、後のマラソンやトライアスロンに通じるものを感じますね。

横山粘り強く努力を続けるタイプです。欲しいものを手に入れるのに時間がかかることは多いですから、ダメだと思ってからもうひとがんばりすると良い結果が得られる。それは長距離スポーツにも言えると思います。

写真は他のKONAチャレメンバーと挑んだ初海外レース&初アイアンの2019年ケアンズ大会(写真左端が横山さん)

生きていくために選んだ
公認会計士という職業

山口なぜ公認会計士になろうと思ったんですか?

横山大学時代は就職難で、何か手に職をつけないと生きていけないんじゃないかという空気があったからです。会社に就職するにしても、資格があると給料も違ってくるだろうと。

大学は経済学部だったので、それに関わる資格は何かなと考えて、公認会計士を目指すことにしました。

山口合格したときはうれしかった?

横山うれしかったですね。長くかかっただけに、すごい達成感がありました。

ただ、いざ公認会計士になって働き始めたら、思っていた仕事とはかなり違っていました。もっと個人の独立性が高い、自由がきく仕事なのかと思っていたんですが、実際には監査法人という組織で仕事をしますから。

山口個人や中小企業を扱う税理士は独立性が高い仕事ですけど、公認会計士は大企業相手ですからそうなるでしょうね。

横山大企業の会計が正しく行われているかを監査するために、その企業の経営や事業内容、会計を理解し、膨大な資料をチェックするので、組織で取り組む必要がある。

最初のうちは言われたことをひたすらやるだけで、それが何のためなのか考える余裕すらありませんでした。

山口仕事が見えてきたのはいつ頃からですか?

横山ここ2〜3年ですかね。自分が何を求められていて、どういうことを成果として出せばいいのかが少しわかってきた。

組織の方針で動くことに変わりはないんですが、与えられた仕事をこなしつつ、その上に自分なりの成果を加えていけるようになりつつあります。

山口成長に時間がかかるんですね。仕事を通じてつかんだもので、トライアスロンに通じることはありますか?

横山粘り強くやり続けるというのは何にでも通じることかもしれませんが、特に仕事とトライアスロンを関係づけて考えてはいないですね。仕事のストレス解消にはなっていますが。

2013年、湘南国際マラソンで初フルに挑んだときの横山さん。2010年秋にランニングを始めてから、じっくり3年かけてのフル挑戦だった

ジョガーからシリアスランナーへ

山口社会人になって太り始めて、「運動しよう」と思ったとき、色々あるスポーツの中でランニングを選んだのはなぜですか?

横山サッカーは仲間や場所などが必要ですが、走るのはひとりでできるからです。最初は2㎞走るのもつらかったけど、少しずつ慣れていきました。

山口健康ジョギングからスタートして、マラソンに出るようになり、サブスリーランナーになっていったわけですよね。競技としてのランニングにはまったきっかけは?

横山何かきっかけがあったというより、少しずつ段階を踏んでのめり込んでいった感じですね。

2010年の夏から秋にかけて走りはじめたんですが、2011年にハーフマラソンに出たら完走できたので、「次はフルかな」と考えるようになった。それでもう少しまじめに練習するようになって、2013年11月の湘南国際マラソンに出たんです。

山口ハーフからフルまで2年かけたんですね。それも横山さんらしい。初めてのフルマラソンはどうでした?

横山ハーフよりはるかにキツかった。後半かなり歩いて4時間40分くらいかかりました。フルマラソンのつらさに懲りて、そこから半年くらい走らなかったですね。

でも、同時に悔しいという気持ちも湧いてきて、「後半歩かずに走れれば4時間切れるんじゃないか」とか考えるようになった。

山口その悔しさが分かれ目というか、健康ジョガーからランナーになるきっかけだったんじゃないですか?

横山今思えばそうかもしれません。翌年の2014年、東京マラソン(2015年2月開催)に応募したら受かったので、そこに向けてまた練習をまじめにやり始めました。

東京マラソンはその前に見に行ったことがあったんですが、お祭りのようで、沿道の声援もすごいし、ランナーもみんなつらいはずなのに楽しそうだったので、出てみたいと思ったんです。

山口そこもエンジョイランニングとして出たいということだったんですね。まだ自分のアスリートとしての可能性に気づいてない。

横山そうですね。でも、まじめに練習した結果、3時間40分でゴールできたんです。初フルから1時間タイムを縮めて一気にサブフォーを達成できた。そのとき初めて可能性を感じました。

このまま続ければ3時間半を切れるかもしれないし、突き詰めていけばサブスリーまでいけるのではないかと。

写真は2019年の東京マラソンのフィニッシュ後。このときもサブスリー(2時間51分58秒)で走っている

山口成功体験で覚醒した?

横山可能性を感じたと同時に、マラソンは自分に向いていると思いました。

今思えば高校時代、サッカー部の練習の終わりに走り込みをやっていたんですが、いつも一番だったんです。サッカーはそうでもなかったけど、持久走の素質はあったのかもしれない。性格的にもコツコツ長く続けるのが得意ですし。

山口そういう人でないと公認会計士は受からないですよ。長距離スポーツ向きの資質と、公認会計士試験に合格した粘り強さが。そこでつながりましたね。

限界を超えてがんばる姿に打たれ
始めたトライアスロン

山口トライアスロンを始めたのはいつですか?

横山2015年です。

山口東京マラソンでスポーツ最初の達成感を味わって、自分の可能性も感じた年ですね。

横山きっかけになったのは、そのだいぶ前(2011年)に『行列のできる法律相談所』というTV番組で、出演者が佐渡トライアスロンのAタイプにチャレンジするのを見たことです。

山口どんなシーンが胸に刺さったんですか?

横山レース終盤の、限界を超えてがんばってるところですね。菊地(幸夫)弁護士と東野幸治さんが制限時間ギリギリの状況で、真っ暗な、応援する人もいないところを、それぞれたったひとりで走ってる。

たしか菊地さんは制限時間ギリギリでゴールして、東野さんは間に合わなかったんですが、自分の限界を超えて必死にゴールを目指す姿を見て、「自分もあれをやりたい!」と思っていたんです。

人気番組『行列のできる法律相談所』の佐渡Aタイプ・チャレンジ企画で東野幸治さんや、菊地弁護士(写真)らが限界に挑む姿が横山さんの心を打った ©Akihiko Harimoto



自転車を持っていなかったので、2014年12月にまず22万円くらいのロードバイクを買いました。

山口それで2015年にトライアスロンデビュー?

横山そうです。ショートの九十九里トライアスロンに出ました。

でも、本当にやりたいのはロングだったので、バイクの実力を上げる必要があると思って、最初のうちは主にバイクのヒルクライムレースに出場していました。

山口ちゃんと段階を踏んだんですね。私は全く何もやったことがなかったのに、いきなり3種目練習して、数カ月でショートのトライアスロンに出て、5カ月でアイアンマンを完走しましたけど、そういう無謀なことはやらない。

横山佐渡Aはスイム3.8㎞、バイク190㎞、ラン42㎞ですからケタ違いの距離です。まずマラソンをしっかり走れるようになって、自転車も距離を乗れるようになって、さらに泳げるようにならないと、と思ったんです。

山口真面目ですね。性格が表れている。

横山いきなり3種目やるのは難しいので、1種目ずつ距離伸ばしていった感じですね。

ランもジョギングからハーフ、そしてフルマラソン。バイクもヒルクライムからツール・ド・おきなわと、ひとつずつ段階を踏んで距離伸ばして、それからトライアスロンのロングに出た。

デビュー戦の経験に学んでリベンジを果たした「2016年」の九十九里トライアスロンで奥様と

デビュー戦はスイム300mでリタイア

山口2015年、九十九里のトライアスロンデビューはどうだったんですか?

横山スイムで過呼吸になって300mでリタイアしました(笑)。

山口えっ?

横山バイクとランたくさん練習したのに、スイムはプールでしか泳いだことがなくて、経験不足でしたね。

九十九里は川で泳ぐんですが、下が見えないし、人にたくさんぶつかって、過呼吸になり、苦しさが尋常でなく、死ぬかと思った。スタッフに助けを求めてリタイヤ。今なら仰向けになって休むとかできますけど、そんなノウハウもなかった。

山口スイムのリタイアって悔しいですよね。

横山バイクとランの練習の成果が出せないで終わってしまいますからね。

命があってよかったという感じでしたけど、「これでは終われない!」と思いました。それで翌2016年の九十九里に出て完走、リベンジしました。

山口今度は準備をしっかりした?

横山外で泳ぐ練習しなきゃいけないんだとわかったので、OWSの練習会に出て、泳ぎ方の基礎を教わり、海で泳ぐ練習をしました。

山口そこはしっかり経験を生かして、同じミスをしないわけですね。

横山大会で悔しい思いをしては、反省して改善し、リベンジするというのを繰り返している気がします。

初ロングは無欲で成功

山口結婚はいつですか?

横山2016年です。

山口九十九里でリベンジした年ですね。結婚でライフスタイルは変わりましたか?

横山結婚では特に変わらなかったですね。変わったのは2018年10月に子どもが生まれてからです。その前、2017年6月にセントレアでミドルを完走し、2018年6月に五島長崎で初ロングを完走してます。

初ロング挑戦・完走を果たした2017年6月の五島長崎(バラモンキング)

山口初ロングはどうでした?

横山わりとうまくいきました。距離はアイアンマンですが、完走目標だったので、気楽でしたね。

身重の妻が応援に来てくれて、楽しかった。飛行機、バス、ジェットフォイルを乗り継いでの旅ですから、ちょっと無茶でしたが、それも良い思い出です。

写真を見ると、ランはマラソンウエアで走っていて、まだトライウエアを持っていなかった。トランジションではしっかり時間かけて着替えました。

山口そのほうが結果的には速かったりしますね。

横山タイムは11時間15分10秒ですが、思っていたより良かったです。バイクは坂もそれなりにあるコースで6時間5分、ラン3時間55分くらい。

この年の2月にマラソンで初サブスリーを達成しているので、そのわりには遅いんですが、けっこう歩いたり止まったりしましたからね。

山口スイムはどのくらいでした?

横山1時間14分。100m・2分くらいですかね。あまり良くないけど、このときはまだスクールに行かず、ひとりで練習していましたから当然ですね。

山口まだ色々伸びしろを残した上でのタイムだったわけですね。

横山順位的には総合32位、年代別5位に入って、ITUロング世界選手権出場選手に選ばれました。初ロングがうまくいって自信を深め、ここからトライアスロンが俄然楽しくなった。

もう一段上のチャレンジがしたくて
KONAチャレに応募

山口2018年はKONAチャレが始まった年ですよね。

横山そうです五島に出る前、2月くらいにルミナのHPで見て応募しました。

このとき妻が10月出産予定だったので、「子どもの誕生日をコナで迎えられたら」と応募シートに書きました。

山口応募の動機は何だったんですか?

横山まだロングに出てない段階でしたが、2017年11月にツール・ド・おきなわの140㎞部門に出て、完走が容易ではないと言われるタイム設定をわりと 余裕もってクリアできたので、バイクの長い距離もいけると手応えを感じていました。

そこでもう一段上のチャレンジをしたくなったというのが、応募の動機です。

2018年、春にスタートしたKONAチャレにフレンドメンバーとして参加。写真はキックオフ・ミーティング後の打ち上げ(右から3番目が横山さん)

山口もう一段ギヤを上げるきっかけがほしかった?

横山そうですね。まずトライアスロンのロングに出たら、その先にアイアンマンがあることはわかっていたので、KONAという最高峰を目標に設定したら、さらにがんばるスイッチが入れられると思った。

山口KONAチャレのフレンドメンバーに選ばれたときは、どんなことを感じましたか?

横山「いいきっかけができた、ラッキー」という感じでした。

初海外アイアンマン
ケアンズの失敗

山口横山さんはKONAチャレメンバーの中では、サブスリーでツール・ド・おきなわを完走してるし、KONAに確実に行けるようになると目されているのに、アイアンマンでは失速していますよね。レースで何があったのか、ずっと聞きたいと思っていたんです。

横山2019年のケアンズですね。一言で言うと、海外のレースは勝手が違ったということ。もっと実力があると思っていたけど、慣れない海外遠征でその実力が出せなかった。

山口海外のレースは初めてだったんですか?

横山新婚旅行でホノルルマラソンに出たんですが、マラソンだし、気楽でしたから、海外のアイアンマンとは違います。ケアンズは初めて海外で真剣に挑んだトライアスロンのレースでした。

バイクやその他の荷物を持って成田へ移動し、現地に着いてホテルへ移動するというのが意外に疲労するし、現地の慣れない気候や環境、食事など色々なことで疲れるというのがわかっていなかった。

山口スタート前から疲れを感じていた?

横山そうですね。日本のレースでは身体が軽いのに、そのときはなんだか重かった。食事だけでもごはん・味噌汁など持っていけばよかったんですが、オーストラリアは食品を持ち込めないという情報があったので持っていかなかった。

山口奥さんは?

横山子どもが小さいし、旅費も高いので、同行しませんでした。

山口それもいけなかったのでは?(笑)

初アイアンマンにして初めての海外レース遠征だったケアンズ大会。ここで学んだことも多かった

横山スイムはケアンズの海は波が荒くて予定より10分遅く、ランは3時間50分くらいで、サブスリーの実力が全く出せなかった。

フィニッシュタイムは10時間45分16秒で、五島長崎のときよりは伸びていますが、KONAを目指すには1時間くらいたりなかった。

それでわかったのは、海外のレースでは実力の80%くらいしか出せないこと、それでKONA出場権をとれるくらいになる必要があるということです。

アクシデントに対応できなかった
マレーシア・ランカウイ

山口その年のマレーシアは13時間台と、ケアンズよりはるかに時間がかかっていますが、これは?

横山バイクでパンクしました。

スイムは海がおだやかで問題なくクリアでき、バイクはアップダウンがあるけど上りは得意ですからこれも問題なかったんですが、130㎞地点くらいでしょうか、「ここから上げていくぞ」というところでキャットアイ(反射板をはめ込んだ突起)を踏んでパンク。

山口チューブ交換は不慣れだった?

横山練習ではパンクを経験していたので、チューブ交換は一応できるんですが、レースは勝手が違いました。なぜかCO2が少ししか入らない。止まった瞬間から、マレーシアの蒸し暑さもあって、走っているときは感じなかった暑さを感じましたから、細かい作業がうまくいかなかったのかもしれません。

現地の移動メカニックがきてくれたんですが、ポンプがフレンチバルブではなく普通の自転車用で、役に立たなかった(笑)。レースでは他人をあてにしてはいけませんね。結局、パンクした前輪がフニャフニャのまま残りを走りました。CO2ボンベで少しだけ空気が入ったので。

坂やカーブは怖くてスピードは出せないし、不安定な走行で力を使い果たしてしまい、ランではまったく力が入らず。34〜35℃の高温と湿度の中を(得意のランで勝負をかけるべく)せっかく用意したナイキ・ヴェイパーフライで歩きました。

山口これも悔しい結果ですね。

横山悔しくてこのままじゃ終われませんね。でも、ここでわかったのはこれも含めてアイアンマンだということ。実力だけでなく色々な対応力が必要になる。

このマレーシアの場合は、レースで疲れていてようと、どんなに蒸し暑かろうと、普段通りにすばやくパンク修理できる対応力が必要でした。こういう対応力をすべて身につけて、初めてKONAに出られるアスリートになれるのだということを学びました

コロナ禍でも着実に
できる練習を継続

山口2020年春からコロナでレースに出られない状態が続いていますが、トレーニングはできていますか?

横山コロナで在宅勤務が中心になったので、かえって練習時間がとりやすくなりました。平日は早朝練習が基本で、週3〜4回バイクかラン。時間帯は4時〜4時半にスタートして6時半まで。

公務員の妻が早く職場に行く必要があり、朝6時半に家を出るので、それまでにトレーニングを終わらせるようにしています。

暖かい時期は荒川でバイクに乗っていましたが、冬は暗くて寒いのでローラー台でバイクか、ジョグです。

山口早朝4時起きは大変では?

横山早寝すれば朝は起きられますよ。夜は娘と同時、夜10時くらいに寝ています。

山口時間管理ができる人なんですね。

横山それがキモですね。

山口トライアスロンをただやるだけじゃなく、タイムを伸ばすとなると、それができないとだめですよね。仕事や子育てなど、同じような環境で練習時間を捻出できないという人がたくさんいますが、要はやる気があればやれる。

横山在宅勤務でも昼休みを1時間とるので、この時間も活用して近くのプールで泳ぐかランをやることもあります。夜は妻が6時に帰宅して夕食を作り、僕は娘の保育園のお迎えと風呂に入れるのが役割なので、基本夜は練習しないんですが、週1回だけ金曜の夜にランのチーム練習会に参加しています。

山口どんなチームですか?

横山Team MxK(チームMK)です。火曜と金曜に夜7:30から、織田記念フィールドでランの練習会をやっていて、僕は金曜に参加しています。チームに所属していなくても、必要な練習だけできるというのが自分に合っている。

ウォームアップやクールダウンは各自やって、ポイント練習だけみんなでやる感じです。その日によってペース走やインターバルなどメニューが変わります。

山口タイム設定はどのくらいですか?

横山参加者は大体サブスリー以上で、遅くても3時間15分くらいかな。ガチランナーのガチ練習会です。みんな㎞3分半くらいでも楽そうに走ってる。

山口ハイレベルだなぁ(笑)。

SNSで知り合ったローディたちと
ハイレベルなバイク練習

山口土日はどちらかにバイクのロングライドですか?

横山そうです。去年、同じくらいの脚力の知り合いがふたりできて、一緒に走るようになりました。緊急事態宣言が出てから週3回荒川でバイク練習して、STRAVA(ランナーとサイクリストのSNS)にアップしていたら、「いつもこのコース走ってますよね」とメッセージが来て、知り合ったんです。

山口今どきの出会いですね。

横山STRAVAは走ったコースだけでなく、セグメントごとにタイムが出るので、実力がわかるんです。それで「一緒に練習しましょう」ということになって、週末ロングライドに行くようになった。

夏にもうひとり同じくらいのレベルの人が加わり、3人で走っています。ふたりともサイクリストです。その前はひとりで練習していましたが、やはりパートナーがいたほうがいいですね。

山口バイクもランもトレーニングが充実していますね。

横山バイクはガチサイクリスト、ランはガチランナーとポイント練習することで、トライアスリートとしては高いレベルのトレーニングができていると思います。

スイムのポイント練習はルミナの朝スイムですが、これが今の僕にはちょうどいい。

山口充実したトレーニングの成果をアイアンマンで試したいですね。

横山2019年の失敗レースの後、レースに出ていませんから、このままじゃ終われないですよね。

山口横山さんなら何があっても着実に進化を続け、遅かれ早かれいつでもKONAに出られるアスリートになれると思います。お互いがんばりましょう。今日はありがとうございました。

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